みきとPの新曲、もう聴きましたか?
いい意味で裏切られて気持ち良いのでこの調子を維持しながら感想を書いていきます。
この曲はインディーか、在りし日のJ-ROCKか
イントロを聴いて真っ先に思ったのは、「インディーだなぁ」でした。
ここ最近Spotifyで聴きあさっていた感覚だと、UKのインディープレイリストに入っていてもおかしくないようなサブカルチャー味を感じられました。
ただ、1日置いて聴いてみると、そんな遠回りしたアンテナを張らなくてもいいほどに懐かしの2000年代前半な構成なことに気がついて、悔しくてくるりを聴き直してました。
みきとPの原点回帰、否、マイナス回帰か
氏が神戸時代にやっていたバンド期に流行っていたような匂いを随所に感じられる本曲は、逆に初期みきとPではこの辺エッセンスが無かったと思う(初期のみきとPの曲からは過去のキャリアからの開放を常時感じられる)ので、原点回帰を超えてマイナス回帰とも思える曲でした。
初期みきとPは逆にジュディマリくらいの90年代を参照してたりしましたよね。
みきとPの曲は、2016年に出したEDM曲ですら自身のエッセンスを散りばめまくっているので、きっと過去の曲にもマイナス回帰があるかもしれないのではと疑い始めてます。
初めて見聞きした「星尘 infinity」
今回の曲に使用されたボカロ、星尘 infinityは正直初めて知りました。
どうやら中国で流通しているボカロだそうです。厳密にはSynth Vとやらなのですが、今日の“ボカロ”の使われ方から本記事ではこれもボカロと呼んでいきます。
みきとPは中国圏に根強いファンがいますし、本人も神戸では山水中国語教室で成績1位だった(みきうちクイズより)ほどに中国語に関心のあるのはファンの間でも周知なので納得です。
中国圏のボカロにも関わらず、日本語の発音が上手すぎてビビりました。特にサ行の発音には感動しました。
ルーミーなドラム、初期みきとPなギターサウンド
みきとPが前回投稿した『YONAKI』では、オンマイク感のあるクランチからファズまで、一通りの歪んだテレキャスターのサウンドが常時聴こえていましたが、『 E S P R 』では懐かしいみきとPのダイレクトでクリアなテレキャスターのサウンドが聴こえます。
懐かしいテレキャスサウンドなのは、友達募集Pが関わっているのも一役買っている故かもしれません。
友達募集Pが手掛けるソフト音源のシングルコイルサウンドは、個人的に特徴的な音をしていると思っていて、
以前memexのシングルで、みきとPのテレキャスターから聴こえてたローミッドのニュアンスが聴こえて驚いたことがあって、もしかしたら友達募集Pのメイキングで感じられる要素なのではと個人的に仮説を立ててます。(共有点を探っていくと消去法で友達募集Pが出てきたのは面白かったです。)
一方でドラムのサウンドメイキングは私のモニター環境では、大きめの音量でドラムの音が回り込みかけているような聴こえ方がして、注意して聴いてみると最近のみきとPの楽曲の中では結構空間音が入っているのに気が付きました。
これがインディー感または在りし日の日本のバンド曲感を感じさせたのかもしれません。
予想を裏切りつつも伏線は回収している構成
個人的な話ですが、最近のみきとPの提供が過去曲を煎じたような雰囲気を感じさせたり、そうでなくてもあっさりしすぎていたので久々オリジナル曲ではギターのうるさいロックが来るんじゃないかと予想してました。
かといって以前にやったような騒がしいやつは、過去の反響も相まってもうやらないだろうとは思っていました。
いよいよお披露目となった『 E S P R 』は、ハイテンポでは表現しきれなかったみきとPの心地よい休符が映えるドラムワークを存分に活かせるミドルテンポで、後ろで聴こえてくるワウギターは、みきとPから「ギターロックがやりたい」と訴えているようにも聴こえました。
近年の流行りを意識してか、イントロは飛ばされるギリギリの尺で、すかさずボーカルとスネアが入ってくるのが素晴らしいです。
純粋な作品視点では無いのですが、みきとPはこの曲を出す前にボカロPの伊根さんの『ドゥードル』から「サビであることを主張しすぎないサビ」 にインスパイアされている話をしていて、本曲で見事にフラグ回収しているのも感動でした。
ドラム最高と思ったらMatt Newman氏だった件
聴いた最初の頃は本曲のドラムが何の音源を使って録ったのかなって当てっこをしてたんですが、クレジットを見たら「にうまん」氏による演奏だったので驚きました。
ドラムの癖がみきとPの打ち込みのそれだし、直近の『だいよげん』や『YONAKI』を聴いてもらえたら分かるのですが、